
今回は新興国株式全体の投稿です。
投資信託とETFについては、こちらの記事にて。

新興国って中国やインド?
経済成長がすごいから、株価も爆上げなの?

この10年を見ると、特に中国の躍進はもの凄い勢いだったけど、実は株価はイマイチだったんだ。アメリカ一強っていう感じでした。

ただ、マネーが溢れている状態であるため、新興国へ資金は流入している状態で、コロナショック後は新興国も株価成長が高い状態です。

長いスパンで考えると、アメリカ一強がどこまで続くのか?も不明なため、新興国へ分散投資するのは良いと思います。

今回は、
①新興国全体への投資
②新興国全体のETFや投資信託
③他指数との比較
についてまとめています。
新興国全体への投資について
<新興国>
経済が発展途上にある国や地域のことで、インフラもまだ十分に整っていないため、今後の経済発展が期待できます。代表的な新興国として、BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)や台湾、韓国が挙げられます。
韓国は新興国と定義されることがほとんどですが、株価指数として、一部で新興国には組み込まれていないです。
新興国として、一国に投資することも可能ですが、今回は、新興国全体についてまとめました。
●株価指数
株価指数 | 組入国数 | 銘柄数 | ETF番号 | 備考 |
MSCI Emerging Markets Index | 27カ国 | 1424 | EEM、1681、2520 | 大型株・中型株 |
MSCI Emerging Markets IMI | 27カ国 | 3250 | IEMG、1658 | 大型株・中型株・小型株 |
SPDR S&P Emerging Markets(S&P® Emerging BMI Index) | 30か国 (一部先進国入り) | 2603 | SPEM | 韓国が入っていない |
FTSE Emerging Markets | 24カ国 | 1863 | VWO | 韓国が入っていない |
MSCI Emerging Markets Index
MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)算出・公表する指数。
大型株及び中型株で構成されているのが特徴です。
1,424の銘柄があり、このインデックスは、各国の浮動株調整後の時価総額の約85%をカバーしています。次項説明のMSCI Emerging Markets IMI との違いは、小型株が入っていないということです。
対象国が27か国で、銘柄数が1,424社となります。
●構成国比率
国 | 比率 |
中国 | 37.59% |
台湾 | 13.87% |
韓国 | 13.04% |
インド | 9.96% |
ブラジル | 4.97% |
その他 | 20.56% |
中国、台湾、韓国、インドの4か国で75%を占めています。
中でも中国が38%と約4割組み込まれた指数であることが分かります。
<その他>
アルゼンチン、チリ、コロンビア、メキシコ、ペルー、チェコ、エジプト、ギリシャ、ハンガリー、クエート、ポーランド、サウジアラビア、ロシア、南アフリカ、トルコ、カタール、UAE、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、パキスタン
●構成セクター比率
セクター | 比率 |
情報技術 | 20.39% |
金融 | 18.32% |
一般消費財 | 16.85% |
コミュニケーションサービス | 11.36% |
素材 | 8.69% |
生活必需品 | 5.74% |
ヘルスケア | 4.98% |
エネルギー | 4.85% |
資本財 | 4.68% |
不動産 | 2.13% |
公共事業 | 2.00% |
MSCI Emerging Markets IMI
MSCI Emerging Markets Index同様に、MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)算出・公表する指数となります。
大型株及び中型株、小型株で構成されているのが特徴です。
MSCI Emerging Markets Index との違いは小型株が入っているかどうかとなります。
3,250の銘柄で構成され、各国の浮動株調整後の時価総額の約99%をカバーされています。
●構成国比率
国 | 比率 |
中国 | 34.46% |
台湾 | 14.69% |
韓国 | 13.60% |
インド | 10.82% |
ブラジル | 5.19% |
その他 | 21.25% |
●構成セクター比率
セクター | 比率 |
情報技術 | 20.14% |
金融 | 17.39% |
一般消費財 | 16.30% |
コミュニケーションサービス | 10.50% |
素材 | 9.10% |
生活必需品 | 5.90% |
ヘルスケア | 5.80% |
エネルギー | 5.49% |
資本財 | 4.52% |
不動産 | 2.66% |
公共事業 | 2.21% |
MSCI Emerging Markets 比較
MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)が算出・公表する新興国株価指数同士を比較しました。
●構成国比率
少しずつ違いはありますが、基本的には同じです。
●構成セクター比率
上位セクターでMSCI Emerging Markets Indexの方の比率が高くなっていることが分かります。
●成長率比較
1年あたり | |||||||
1か月 | 3か月 | 1年 | 3年 | 5年 | 10年 | 設定来 | |
MSCI Emerging Markets Index | 2.32% | 3.28% | 7.26% | 9.65% | 13.88% | 4.10% | 9.75% |
MSCI Emerging Markets IMI | 2.34% | 4.03% | 8.29% | 9.55% | 13.61% | 4.10% | 9.80% |
この1年は若干ですが、「IMI」の方が若干良い結果が得られていますが、中長期的にはほぼ差が無い結果です。
●株価推移比較(2016年から)
ほぼ同じ結果が得られています。
つまり、どちらの指数を購入しても同じリターンが得られることが分かりました。
SPDR S&P Emerging Markets
指数ベースのコンセプトやデータ、リサーチを提供する世界最大のグローバル・リソース企業である、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが新興国指数として算出しています。
有名どころはS&P500ですね。
MSCIとの違いは、先進国が一部入っていることと、韓国が入っていないことです。韓国は先進国に組み込まれているようです。
●構成国比率
国 | 比率 |
中国 | 37.80% |
台湾 | 16.35% |
インド | 13.14% |
ブラジル | 6.22% |
南アフリカ | 4.29% |
サウジアラビア | 3.36% |
ロシア | 2.58% |
香港 | 2.14% |
メキシコ | 2.09% |
マレーシア | 1.91% |
タイ | 1.88% |
インドネシア | 1.41% |
フィリピン | 0.82% |
ポーランド | 0.76% |
アラブ首長国連邦 | 0.70% |
米国 | 0.66% |
カタール | 0.65% |
クウェート | 0.58% |
チリ | 0.49% |
トルコ | 0.47% |
ハンガリー | 0.34% |
ペルー | 0.25% |
コロンビア | 0.24% |
ギリシャ | 0.24% |
チェコ | 0.23% |
エジプト | 0.13% |
英国 | 0.12% |
シンガポール | 0.08% |
キプロス | 0.07% |
オランダ | 0.01% |
合計30か国で、アメリカやイギリスが極僅かですが組み入れされています。
●構成国TOP15
●構成セクター
MSCIと違い、金融が一番多い比率となっており、情報技術は3番目となっています。
FTSE Emerging Markets
FTSEインターナショナルは、イギリス・ロンドンに拠点を置き、株価指数の算出・管理や、関連する金融データの提供サービスを行う企業です。
投資数はFTSEが新興国株式全体への指数を算出しています。こちらも韓国が入っていません。
●構成国比率
国 | 比率 |
中国 | 41.16% |
台湾 | 16.45% |
インド | 12.27% |
ブラジル | 6.05% |
南アフリカ | 4.79% |
サウジアラビア | 3.38% |
ロシア | 3.12% |
タイ | 2.22% |
メキシコ | 2.20% |
マレーシア | 1.80% |
インドネシア | 1.33% |
フィリピン | 0.84% |
アラブ首長国連邦 | 0.84% |
カタール | 0.83% |
クエート | 0.66% |
チリ | 0.61% |
トルコ | 0.41% |
ギリシャ | 0.28% |
ハンガリー | 0.27% |
コロンビア | 0.21% |
チェコ | 0.14% |
エジプト | 0.10% |
ルーマニア | 0.04% |
パキスタン | 0.03% |
●構成国TOP15
●構成セクター
セクター | 比率 |
技術 | 25.53% |
金融 | 20.26% |
一般消費財 | 15.72% |
素材 | 7.34% |
資本財 | 6.18% |
エネルギー | 6.16% |
生活必需品 | 5.89% |
ヘルスケア | 4.45% |
電気通信 | 3.22% |
不動産 | 2.80% |
公共事業 | 2.47% |
ETFについて
ETF種類
●国内
コード | 市場 | 銘柄名 | 連動指標 | 分配金利回り | 信託報酬 | 純資産総額(百万円) |
1658 | 東証 | iシェアーズ・コア MSCI 新興国株 ETF | MSCI Emerging Markets IMI | 1.30% | 0.25% | 5,262 |
1681 | 東証 | 上場インデックスファンド海外新興国株式(MSCIエマージング) | MSCI Emerging Markets Index | 1.25% | 0.26% | 7,756 |
2520 | 東証 | NEXT FUNDS 新興国株式・MSCIエマージング・マーケット・インデックス(為替ヘッジなし) | MSCI Emerging Markets Index | 1.69% | 0.21% | 1,155 |
上図からは2520/NEXT FUNDS 新興国株式・MSCIエマージング・マーケット・インデックス(為替ヘッジなし)が最も良いと考えます。
コード | 市場 | 銘柄名 | 連動指標 | 分配金利回り | 信託報酬 | 純資産総額(百万$) |
EEM | NYSE | iシェアーズ MSCI エマージング・マーケット ETF | MSCI Emerging Markets Index | 1.37% | 0.70% | 31,964 |
IEMG | NYSE | iシェアーズ・コア MSCI エマージング・マーケット ETF | MSCI Emerging Markets IMI | 1.74% | 0.11% | 81,938 |
SPEM | NYSE | SPDR® ポートフォリオ 新興国株式 ETF | SPDR S&P Emerging Markets(S&P® Emerging BMI Index) | 1.78% | 0.11% | 127,260 |
VWO | NYSE | バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF | FTSE Emerging Markets | 2.09% | 0.10% | 110,027 |
株価推移
下記ETFにて比較しました。
●SPEM(SPDR S&P Emerging Markets)
●EEM(MSCI Emerging Markets Index)
●VWO(FTSE Emerging Markets )
●2011年から推移
SPDR S&Pが21.20%と一番高い成長率です。
●2016年から推移
SPDR S&Pが84.22%と一番高い成長率です。
●2020年から推移
どれも同程度のパフォーマンスです。
キャピタルゲイン狙い:PEM(SPDR S&P Emerging Markets)
インカムゲイン狙い:VWO(FTSE Emerging Markets )
投資信託について
マネックス証券で調査しました。
ファンド一覧表
ファンド名 | 分配 | 申込手数料 | 信託報酬率 | 純資産総額(百万円) | 6/20 基準価額(円) | トータルリターン(3年) | ベンチマーク |
SBI・新興国株式インデックス・ファンド | 年1回 | 0% | 純資産総額に対して実質0.176%程度 | 10,558 | 13,011 | 9.54% | FTSE Emerging Markets |
eMAXIS Slim 新興国株式インデックス | 年1回 | 0% | 純資産総額に対して 0.187%以内 | 67,245 | 13,576 | 9.33% | MSCI Emerging Markets Index |
ニッセイ新興国株式インデックスファンド | 年1回 | 0% | 純資産総額に対して 0.2079%以内 | 2,898 | 12,512 | 9.05% | MSCI Emerging Markets Index |
i-SMT 新興国株式インデックス(ノーロード) | 年1回 | 0% | 純資産総額に対して 0.363% | 110 | 12,024 | 9.36% | MSCI Emerging Markets Index |
たわらノーロード 新興国株式 | 年1回 | 0% | 純資産総額に対して 0.374%以内 | 11,668 | 17,429 | 8.08% | MSCI Emerging Markets Index |
iFree 新興国株式インデックス | 年1回 | 0% | 純資産総額に対して 0.374% | 6,368 | 16,089 | 6.53% | FTSE Emerging Markets |
つみたて新興国株式 | 年1回 | 0% | 純資産総額に対して 0.374% | 11,834 | 13,780 | 9.14% | MSCI Emerging Markets Index |
三井住友・DC新興国株式インデックスファンド | 年1回 | 0% | 純資産総額に対して 0.374% | 4,148 | 16,847 | 8.64% | MSCI Emerging Markets Index |
Smart-i 新興国株式インデックス | 年1回 | 0% | 純資産総額に対して 0.374% | 2,315 | 13,226 | 8.55% | MSCI Emerging Markets Index |
eMAXIS 新興国株式インデックス | 年1回 | 0% | 純資産総額に対して 0.66%以内 | 36,666 | 20,469 | 8.88% | MSCI Emerging Markets Index |
SMT 新興国株式インデックス・オープン | 年2回 | 0% | 純資産総額に対して 0.66% | 28,664 | 35,441 | 9.03% | MSCI Emerging Markets Index |
野村インデックスファンド・新興国株式 | 年1回 | 0% | 純資産総額に対して 0.66% | 5,827 | 19,514 | 8.98% | MSCI Emerging Markets Index |
・FTSE Emerging Markets
・MSCI Emerging Markets Index
の2つが該当し、
・SPDR S&P Emerging Markets
・MSCI Emerging Markets IMI
をベンチマークにしている投資信託はありません。
●SBI・新興国株式インデックス・ファンド
●eMAXIS Slim 新興国株式インデックス
●ニッセイ新興国株式インデックスファンド
1か月 | 3か月 | 6か月 | 1年 | 3年 | 設定来 | ||
SBI・新興国株式インデックス・ファンド | ファンド | 1.1% | 4.2% | 16.4% | 51.1% | 31.4% | 29.1% |
ベンチマーク | 0.9% | 2.6% | 17.4% | 51.3% | 34.4% | 30.4% | |
差 | 0.2% | 1.7% | -1.0% | -0.1% | -2.9% | -1.3% | |
eMAXIS Slim 新興国株式インデックス | ファンド | 0.5% | 2.3% | 17.5% | 52.8% | 30.7% | 34.7% |
ベンチマーク | 0.7% | 2.1% | 17.8% | 53.2% | 32.5% | 36.8% | |
差 | -0.2% | 0.2% | -0.3% | -0.4% | -1.8% | -2.1% | |
ニッセイ新興国株式インデックスファンド | ファンド | 1.9% | 5.6% | 27.5% | 53.4% | 24.9% | 23.7% |
ベンチマーク | 1.9% | 5.8% | 27.7% | 54.1% | 27.5% | 28.0% | |
差 | 0.0% | -0.2% | -0.2% | -0.7% | -2.6% | -4.3% |

●SBI・新興国株式インデックスファンドは、少し安定感に欠く内容
●eMAXIS Slim新興国株式インデックスファンドが比較的安定に推移
→純資産が最も多いことが要因であると思われます。
株価推移比較(過去3年間)

これは、配当金を再投資した結果です。
ベンチマークであるFTSE Emerging Marketsの配当利回りが高く、他よりも株価指数として高くなっていると推測します。
投資信託まとめ
安定を取るならeMAXIS Slim新興国株式インデックスファンドが良いと思いますが、
信託報酬が最も安く、僅かではありますが株価指数成長が良いSBI・新興国株式インデックスファンドがおススメです。
他指数との比較
S&P500、日経平均、全世界株式、新興国株式を代表してEEM(MSCI Emerging Markets Index)とを株式指数推移比較を行いました。
※それぞれの指数については、青文字をクリックし参照ください。
●2011年から
●2018年から
●2020年から
VOO(S&P500)が最もパフォーマンスが良く、新興国株式ETFであるEEMが最も悪いことが分かります。これは新興国にとって、この10年は厳しい結果であったことが分かります。
今後の10年はどうなるか?誰も分かりません。
そのため、アメリカを基軸としながら、新興国にも少し投資してみるのも良いのではないでしょうか。私は少額ですが、少しずつ投資を行っています。
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