
2023年は日本株が再注目されています。
・著名投資家ウォーレンバフェット氏が日本株投資意欲
・東証によるPBR 1倍割れ企業に改善要求
・円安が続いているため海外投資家からすると割安
・日銀による金融緩和継続。世界中見ても日本のみ
・西側諸国を中心に地政学リスクで日本へ目が向きやすい
・新NISAが2024年から始まるため、日本人も投資へ興味UP

2022年、2023年と日本株は底堅いですね!

少子高齢化や失われた30年により、日本株は割安のままの企業が数多くあります。2013年以降のアベノミクスで株価は大きく上昇しましたが、株価へ影響する因子から見ても割安な銘柄がまだまだあります。

割安定義の中でも、今回はPBRに絞って解説していきます。
1.PBRって何?
2.PBRや財務・稼ぐ力から見た割安株探索
の順で説明していきます。
こんな人におススメです♪
・不動産投資に興味はあるけど、何から始めたら良いか分からない方
・不動産投資怖そう…というイメージを持たれている方
・サラリーマン給料以外の副収入が欲しい方
PBRって何⁉
様々な用語が出てきますが、簡単にまとめました。
株価を上昇させる要点として、
1.利益を向上させること(期待値)
2.少ない純資本
がポイントとなります。
この点とPBRを紐解くと、狙い目が分かってくると思います。
バランスシートとは?
貸借対照表(バランスシート)は資産=負債+純資産で表されます。
左側の「資産」と右側の「負債」「純資産」がバランスが取れた状態となります。
上場企業の決算で常に確認できます。
純資産とは、資本金(起業時、増資時資金)と利益剰余金などの総計です。
PBRとは?
現在の株価を1株当たりの純資産(BPS)で割ることで求めることが出来ます。
上記式から分かることは、
●1.0倍:株価と1株当たり純資産が同じ➡企業解散時に全額戻ってくる
●1.0倍以上:株価が1株当たり純資産よりも高い➡期待値が高い
●1.0倍未満:株価が1株当たり純資産よりも低い➡企業解散したほうが投資家は儲かることになる
つまりPBR1倍割れ銘柄は期待されていない銘柄ということとなります。
※純資産は有形資産などになっていることから、全額戻ってくることは無いです。
下図でもう少し簡単に説明します。
純資産を発行済み株式数で割ったものがBPS=1株あたりの純資産。
・BPSと株価が同じ:PBRは1倍となります。
・BPSよりも株価が高い状態:PBRは1倍以上
・BPSよりも株価が低い状態:PBRは1倍未満
PERとは?
ここからPBRとは少し話がずれますが、PERとROEについて説明します。
特にROEが分かるとPBR1倍未満株が今後どうなっていくのか?が分かってきます。

PERは、株価がEPS(1株当たりの純利益)に対して何倍の水準かを見る指標です。
15倍が目安とされ、15倍より小さいと割安、15倍より大きいと割高と言われています。
※あくまで目安となります。
この意味合いとしては、下図のように考えると理解が深まります。
PERが高い=利益が積み上がるまでの期間が長い
PERが低い=利益が積み上がるまでの期間が短い
投資家としては、早く資金を回収できることが望ましいため、PERで割安割高が判断されます。ただし成長株については、今後の利益が加速することが見込まれているため、資金回収が早まる可能性(期待値)があることから、PERは高くなります。
ROEとは?株価に対する影響が高い指数
ROE:Return On Equityの略で「自己資本当期純利益率」を表します。
限られた資本でどれだけの利益が得られるかの経営効率指標となります。
バランスシートの右下部分の純資産に対して、どれだけ利益を得られたか?が分かります。
ROEが低い=経営効率が悪い=株価が上がらない
ROEが高い=経営効率が良い=株価が上昇する
下図のようにROEは求めることができ、右図の方が経営効率が高いと見ることができます。
純利益が同じでも純資産の規模でROEは変化します。
右図の方が少ない純資産で純利益を上げることができています。
つまりROEが高く、経営効率が高い状態であることが分かります。
ROEとPRBの関係
ROE:当期純利益と純資産の関係 ➡1株に直しても同じ
➡1株あたりの当期純利益と1株当たりの純資産の関係 となります。
ROEを上げるためには、上の左式から
①純資産を減らす
②EPS=純利益÷株式発行数 であるため、株式発行数を減らす
③そもそもの純利益を上昇させる
の選択肢があります。③は中々難しい為、純資産を減らす=株式発行数を減らす。
つまり、自社株買いを実施し株を消却すると①②が達成され、ROEが上昇します。
そのため、利益が出ている会社は自社株買いを実施しています。
ただし、自社株買いで株価を上昇させても、そもそもの利益向上が出来ない限りは、株価は元に戻っていく恐れもあります。
PBRを上昇させるためには?
PBRを上昇させるためには、株価を上昇させる=少ない純資本で高利益体質企業となるということがROEから分かりました。あとは少ない純資本をどう作り出すか?これも自社株買いで解決します。
上図のように自社株買いすることで
・EPS(1株当たりの純利益):上昇
・ROE(資本の効率化):上昇
・PBR(1株純資産あたりの株価):上昇
となり、株価も上昇します。
自社株買いするためには?
自社株買いをするためには、キャッシュ(現金相当)が必要です。
キャッシュを獲得するためには
1.利益を上げて預金相当として資産計上する=純資産が多い
2.銀行からキャッシュを借りる(負債が増える)
2は返済しないといけないキャッシュであるため、投資家からすると快く思われないです。
つまり純資産が多くキャッシュが多い企業=自社株買いができる余裕のある企業ということとなります。
<決算発表時の着目ポイント>
●自己資本比率が高いこと(負債が少ないこと)
●流動資産の現金及び現金同等物が多いこと
≒キャッシュフローの現金及び現金同等物残高が多いこと
時価総額が高く、利益をしっかりと上げているPBRが低い割安株(バリュー株)の多くは成熟企業が多く、純資産とキャッシュの相関が比較的高いことが多いです。
低PBR企業を探してみよう
大型企業で自己資本比率が高い低PBR企業をスクリーニングしました。
・自己資本比率:40%以上
・PBR:0.9倍以下
尚、PBRが低くなりやすい業種、高くなりやすい業種があるため市場平均から見てどうか?が重要です。
●スクリーニング結果
銘柄 | コード | 業種 | 時価総額 (億円) | PBR | 自己資本比率 |
NXHD | 9147 | 陸運業 | 7,357 | 0.89 | 43.20% |
マツダ | 7261 | 輸送用機器 | 7,771 | 0.44 | 43.80% |
アイシン | 7259 | 輸送用機器 | 11,713 | 0.54 | 42.30% |
ホンダ | 7267 | 輸送用機器 | 65,592 | 0.59 | 43.70% |
豊田織 | 6201 | 輸送用機器 | 25,807 | 0.61 | 49.10% |
SUBARU | 7270 | 輸送用機器 | 17,003 | 0.79 | 53.40% |
いすゞ自 | 7202 | 輸送用機器 | 12,556 | 0.89 | 41.80% |
飯田GHD | 3291 | 不動産業 | 6,869 | 0.67 | 54.80% |
住友電工 | 5802 | 非鉄金属 | 13,735 | 0.57 | 46.50% |
NEC | 6701 | 電気機器 | 16,344 | 0.73 | 40.80% |
リコー | 7752 | 電気機器 | 6,949 | 0.75 | 48.70% |
京セラ | 6971 | 電気機器 | 27,109 | 0.90 | 73.30% |
大瓦斯 | 9532 | 電気・ガス業 | 9,317 | 0.68 | 49.00% |
東瓦斯 | 9531 | 電気・ガス業 | 12,211 | 0.68 | 43.50% |
東レ | 3402 | 繊維製品 | 12,543 | 0.69 | 46.20% |
ニコン | 7731 | 精密機器 | 5,005 | 0.83 | 57.50% |
ミツコシイセタン | 3099 | 小売業 | 5,950 | 0.74 | 43.80% |
INPEX | 1605 | 鉱業 | 20,578 | 0.48 | 60.30% |
住友林 | 1911 | 建設業 | 5,870 | 0.69 | 40.80% |
大成建 | 1801 | 建設業 | 8,768 | 0.81 | 44.40% |
鹿島 | 1812 | 建設業 | 9,484 | 0.83 | 40.50% |
商船三井 | 9104 | 海運業 | 11,494 | 0.62 | 54.00% |
川崎船 | 9107 | 海運業 | 7,835 | 0.76 | 56.20% |
東ソー | 4042 | 化学 | 5,887 | 0.78 | 65.20% |
旭化成 | 3407 | 化学 | 13,329 | 0.86 | 50.40% |
王子HD | 3861 | パルプ・紙 | 5,386 | 0.70 | 41.40% |
凸版印 | 7911 | その他製品 | 10,026 | 0.53 | 59.70% |
大日印 | 7912 | その他製品 | 11,441 | 0.80 | 58.20% |
アコム | 8572 | その他金融業 | 5,248 | 0.89 | 42.10% |
浜ゴム | 5101 | ゴム製品 | 5,003 | 0.56 | 53.40% |
AGC | 5201 | ガラス土石製品 | 11,531 | 0.63 | 49.40% |
日本ガイシ | 5333 | ガラス土石製品 | 5,479 | 0.85 | 61.70% |
●上記業種の平均PBR
業種 | 業種平均PBR |
陸運 | 1.2 |
輸送用機器 | 0.8 |
不動産業 | 1.2 |
非鉄金属 | 0.7 |
電気機器 | 1.6 |
電気・ガス業 | 0.7 |
繊維製品 | 1.0 |
精密機器 | 1.5 |
小売業 | 1.7 |
鉱業 | 0.6 |
建設業 | 0.9 |
海運業 | 0.9 |
化学 | 1.1 |
パルプ・紙 | 0.5 |
その他製品 | 1.2 |
その他金融業 | 0.9 |
ゴム製品 | 0.9 |
ガラス土石製品 | 1.0 |
●業種PBR平均よりもPBRが低い銘柄
銘柄 | コード | 業種 | 時価総額 (億円) | PBR | 自己資本比率 |
NXHD | 9147 | 陸運業 | 7,357 | 0.89 | 43.20% |
マツダ | 7261 | 輸送用機器 | 7,771 | 0.44 | 43.80% |
アイシン | 7259 | 輸送用機器 | 11,713 | 0.54 | 42.30% |
ホンダ | 7267 | 輸送用機器 | 65,592 | 0.59 | 43.70% |
豊田織 | 6201 | 輸送用機器 | 25,807 | 0.61 | 49.10% |
飯田GHD | 3291 | 不動産業 | 6,869 | 0.67 | 54.80% |
住友電工 | 5802 | 非鉄金属 | 13,735 | 0.57 | 46.50% |
NEC | 6701 | 電気機器 | 16,344 | 0.73 | 40.80% |
リコー | 7752 | 電気機器 | 6,949 | 0.75 | 48.70% |
京セラ | 6971 | 電気機器 | 27,109 | 0.90 | 73.30% |
東レ | 3402 | 繊維製品 | 12,543 | 0.69 | 46.20% |
ニコン | 7731 | 精密機器 | 5,005 | 0.83 | 57.50% |
ミツコシイセタン | 3099 | 小売業 | 5,950 | 0.74 | 43.80% |
INPEX | 1605 | 鉱業 | 20,578 | 0.48 | 60.30% |
住友林 | 1911 | 建設業 | 5,870 | 0.69 | 40.80% |
商船三井 | 9104 | 海運業 | 11,494 | 0.62 | 54.00% |
川崎船 | 9107 | 海運業 | 7,835 | 0.76 | 56.20% |
東ソー | 4042 | 化学 | 5,887 | 0.78 | 65.20% |
旭化成 | 3407 | 化学 | 13,329 | 0.86 | 50.40% |
凸版印 | 7911 | その他製品 | 10,026 | 0.53 | 59.70% |
浜ゴム | 5101 | ゴム製品 | 5,003 | 0.56 | 53.40% |
AGC | 5201 | ガラス土石製品 | 11,531 | 0.63 | 49.40% |
日本ガイシ | 5333 | ガラス土石製品 | 5,479 | 0.85 | 61.70% |
この23銘柄の営業利益動向、キャッシュがどの程度あるのか?を確認することで、自社株買いするかも?という想像が膨らみます。
上記銘柄の営業利益やキャッシュについては、別途追記します。
自動車関連企業
企業調査第一弾として上の図で調査した低PBR自動車関連企業について調査しました。
財務や業績のまとめがされているIRバンクを活用しています。
マツダ株式会社
純資産、現金等:順調に右肩上がりで上昇
年 | 一株配当 (円) | 配当性向 (%) | 自社株買い (億円) |
2008年3月 | – | – | 16.9 |
2009年3月 | – | – | 187 |
2010年3月 | 15 | – | 0.05 |
2011年3月 | – | – | 0.07 |
2012年3月 | – | – | 0.01 |
2013年3月 | – | – | 0.02 |
2014年3月 | 5 | – | 0.12 |
2015年3月 | 10 | 3.8 | 0.18 |
2016年3月 | 30 | 13.3 | 0.06 |
2017年3月 | 35 | 22.3 | 0.03 |
2018年3月 | 35 | 19.1 | 0.03 |
2019年3月 | 35 | 34.9 | 0.02 |
2020年3月 | 35 | 181.7 | 0.01 |
2021年3月 | – | 赤字 | 0.01 |
2022年3月 | 20 | – | 0.01 |
2023年3月 | 45 | 19.8 | 0.02 |
・配当性向:約20%程度で推移
・自社株買い:2008年、2009年以降、ほぼ未実施
現金等は営業利益額の約5倍であり、潤沢なキャッシュがあります。
➡PBRもかなり低水準であり、自社株買いを実施する可能性が比較的高いと考えられます。
株式会社アイシン

・純資産:順調に右肩上がりで上昇
・現金等:2020年以降徐々に減少
・現金は営業利益額の約2倍程度とキャッシュは潤沢ではない
年 | 一株配当 (円) | 配当性向 (%) | 自社株買い (億円) |
2008年3月 | – | – | 194 |
2009年3月 | – | – | 0.2 |
2010年3月 | 30 | 33.9 | 0.6 |
2011年3月 | 50 | 18.2 | 0.23 |
2012年3月 | 50 | 25.4 | 0.04 |
2013年3月 | 75 | 27.3 | 0.03 |
2014年3月 | 95 | 29.7 | 0.12 |
2015年3月 | 95 | 34.6 | 0.08 |
2016年3月 | 100 | 28.2 | 0.07 |
2017年3月 | 125 | 28.1 | 490 |
2018年3月 | 150 | 30.6 | 595 |
2019年3月 | 150 | 36.7 | 0.1 |
2020年3月 | 120 | 134.4 | 0.04 |
2021年3月 | 120 | 30.6 | 0.03 |
2022年3月 | 170 | 32.3 | 0.06 |
2023年3月 | 170 | 121.6 | 0.05 |
➡その分、配当性向は100%を超える状態
・配当性向:100%超えを除くと30%程度で推移
・自社株買い:2008年、2017年、2018年と実施
現金等は営業利益額の約2倍程度のキャッシュであることが多く、そこまでキャッシュが潤沢にあるわけでは無い状況。
➡ただし、2017年、2018年に自社株買いを実施ている際の現金額と現在の状態は同水準であるため、自社株買いを実施する可能性はあります。
2023年3月決算コメントにも、自社株買いの可能性を示唆されています。
本田技研工業株式会社

・純資産、現金等:順調に右肩上がりで上昇
・現金が営業利益の約4倍強で推移し、潤沢なキャッシュがある
年 | 一株配当 (円) | 配当性向 (%) | 自社株買い (億円) |
2013年3月 | 76 | 37.3 | 0.08 |
2014年3月 | 82 | 25.7 | 0.26 |
2015年3月 | 88 | 31.1 | 0.16 |
2016年3月 | 88 | 46.0 | 0.14 |
2017年3月 | 92 | 26.9 | 0.1 |
2018年3月 | 100 | 16.9 | 871 |
2019年3月 | 111 | 32.1 | 646 |
2020年3月 | 112 | 43.1 | 963 |
2021年3月 | 110 | 28.9 | 0.06 |
2022年3月 | 120 | 29.2 | 628 |
2023年3月 | 120 | 29.3 | 1570 |
・配当性向:30%程度で推移
・自社株買い:2018年以降、5回/6年とほぼ毎年自社株買いを実施しています。2023年は過去最高を発表
➡増配も自社株買いもすでにされており、それでもPBRが低い。つまり、株主還元を更に向上させる可能性は高いと考えられます。
株式会社豊田自動織機
・純資産:順調に右肩上がりで上昇
・現金等:ほぼ変化が無い
・現金は営業利益額の約1倍強とキャッシュは潤沢ではない。
年 | 一株配当 (円) | 配当性向 (%) | 自社株買い (億円) |
2008年3月 | – | – | 87.28 |
2009年3月 | – | – | 0.41 |
2010年3月 | 30 | – | 0.18 |
2011年3月 | 50 | 29.7 | 0.15 |
2012年3月 | 50 | 26.6 | 0.05 |
2013年3月 | 55 | 32.3 | 1.09 |
2014年3月 | 85 | 29 | 0.96 |
2015年3月 | 110 | 30 | 0.2 |
2016年3月 | 120 | 19.4 | 0.2 |
2017年3月 | 125 | 29.7 | 180.11 |
2018年3月 | 150 | 27.7 | 0.12 |
2019年3月 | 155 | 31.5 | 0.12 |
2020年3月 | 160 | 34.1 | 0.09 |
2021年3月 | 150 | 34.1 | 0.14 |
2022年3月 | 170 | 29.3 | 0.18 |
2023年3月 | 190 | 30.6 | 0.05 |
・配当性向:30%程度で推移
・自社株買い:2008年、2017年に多額の自社株買い
自社株買いについては記載無いですが、今後様々な施策を検討とあります。
今回紹介した銘柄は堅調な企業が多く、営業成績向上と共に自社株買い・配当などを通じて今後株価上昇が期待できると考えます。
まとめ
株価を上げる手段として、利益が重要なことはもちろんですが、自社株買いも有効です。
2023年は特にPBR1倍割れ企業に着目が集まっており、自社株買いがそれについても有効ということを説明させていただきました。
投資判断材料の一つとして、自社株買いできる余裕のある企業を見つけることは有用です。
日本株投資するためには必須サイトとも言えるhttps://nikkei225jp.com/nikkei/
このサイトの使い方は下記にてまとめています。
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