
2022年は株価下落が進んでいます。

2020年のコロナショック以降は強気相場だったのに~

2022年は
・テーパリング完了
・利上げ
・金融引き締め
がもともと想定されており、株価は厳しいと予想されていました。

2021年からはコロナ禍による需要と供給バランスが崩れたこともあり、コモディティが高騰していていました。
2022年2月にロシアのウクライナ侵攻が始まった影響で、
コモディティが暴騰しており、インフレが更に加速してしまいました。

そのため、従来の想定よりも
・利上げ幅を徐々にではなく、一気に!という流れへ
・バランスシート圧縮(QT)をダイナミックに
する必要が出てきており、3月のFOMC議事でもそのような主張になっていました。

そのため、割高な新興株から資金が撤退しやすい構図となっています。
新興企業は資金が潤沢には無い為、
①:銀行から多額のお金を借りる
②:その資金を有効的に使い収益を上げて規模拡大
③:返済をしながら、再度①→②へ。
を繰り返しながら規模拡大します。

そのため、金利が低い時は回転効率が高くなりやすいですが、
高金利状態だと資金調達が困難になり、成長が鈍ってしまいます。

市場は、成長が期待できる会社に投資するため、低金利の時は新興企業が優位になりやすいです。一方で、高金利状態のときは、新興企業は成長しにくい状態になるため、投資資金が撤収されやすいです。

では市場から資金はどこに流れやすいかというと、
・コモディティ
・大型バリュー株
となります。
コモディティはすでに高騰しているため、私はゴールドが魅力あると考えています。

大型バリュー株は、すでに成熟した産業が多く大きな成長は見込めませんが、もともと資金が潤沢にあり安心感があります。
また、高配当である銘柄が多い為、高金利で不景気になる恐れがあるときは、キャピタルゲインの代わりにインカムゲインを狙った投資家が増えます。そのため、バリュー株が強くなるという構図となります。

本投稿は、バリュー指数とグロース指数について解説していきます。
一般的に、バリューとグロースの違いは、
・PER(株価収益率(Price Earnings Ratio))
・PBR(株価純資産倍率(Price Book-value Ratio))
を指標として、PER、PBRが低い銘柄ほどバリュー株と言われます。

S&P500などのインデックスを開発している、S&P Dow Jones Indicesによるとバリュー指数とグロース指数というものがあります。
今回はこの指数の違いについても解説していきます。

①S&P500
②バリュー指数とグロース指数とは?
③ETF
④バリュー個別株
⑤まとめ
の順でまとめています。
S&P500とは
S&P500はアメリカの大手約500社を集めたインデックスです。
時価総額で比率が決まるため、NYダウに比べてハイテク株が比較的多くなっていますが、NASDAQ総合指数に比べてハイテク株の比率は低くなっています。
S&P500については、下記にてまとめていますので、参考にしていただければ幸いです。
【構成銘柄TOP10】
銘柄名 | Ticker | 組入比率 | 業種 |
Apple Inc. | AAPL | 7.01 | 情報技術 |
Microsoft Corporation | MSFT | 5.94 | 情報技術 |
Amazon.com Inc. | AMZN | 3.63 | 一般消費財・サービス |
Tesla Inc | TSLA | 2.33 | 一般消費財・サービス |
Alphabet Inc. Class A | GOOGL | 2.15 | コミュニケーション・サービス |
Alphabet Inc. Class C | GOOG | 1.99 | コミュニケーション・サービス |
Berkshire Hathaway Inc. Class B | BRK.B | 1.67 | 金融 |
NVIDIA Corporation | NVDA | 1.59 | 情報技術 |
Meta Platforms Inc. Class A | FB | 1.35 | コミュニケーション・サービス |
UnitedHealth Group Incorporated | UNH | 1.33 | ヘルスケア |
影響度も高く、テクノロジーセクターが一番多く占めていることが分かります。
バリュー指数とグロース指数とは
定義
S&P Dow Jones Indicesの解説によると、
下表のように、主インデックスをグロース因子とバリュー因子で点数化します。
グロース因子 | バリュー因子 |
3年間のEPS変化 | 資産 |
3年間のSPS成長率 | 株価収益率 |
1年間の株価変動 | 株価に対する売上高の比率 |
※EPS:1株当たりの純利益
SPS:1株当たりの売上高
グロースランク/バリューランクの比率で並び替えし、時価総額と照らし合わせて
下図のようにスタイルバスケットを構築します。
グロースランクが高くバリューランクが低いものは、数値が大きくなります。
逆にグロースランクが低く、バリューランクが高いものは数値が大きくなります。
①バリュー指数:ピュアバリューと中間(ブレンド)で構成
②グロース指数:ピュアグロースと中間(ブレンド)で構成
①と②の時価総額が同じになるように銘柄や比率を配分化されています。
基インデックスがS&P500の場合
S&P500の
・バリュー指数
・グロース指数
・ピュアバリュー指数
・ピュアグロース指数
の構成銘柄から計算をすると下図のような銘柄数となっています。
黄色帯:ピュアバリュー指数で、121銘柄で構成されています。
青色帯:ピュアグロース指数で、57銘柄で構成されています。
橙色帯:バリュー指数とグロース指数どちらにも該当しており、184銘柄ありました。
S&P500の中でグロースが昨今強すぎるため、バリュー指数とグロース指数の時価総額を合わせるために、
・バリュー指数:449銘柄(506銘柄中)
・グロース指数:241銘柄(506銘柄中)
とバリュー株の銘柄数が多くなっています。
構成銘柄セクター比率
S&P500バリュー指数 セクター比率
ヘルスケア、金融、資本財と続いています。
ディフェンシブなセクターが多くを占めています。
S&P500グロース指数 セクター比率
グロースのため、情報技術セクターが4割を超える比率となっています。
S&P500ピュアバリュー指数 セクター比率
バリュー指数と比べて、金融が3割と影響度が高くなっています。
S&P500ピュアグロース指数 セクター比率
主要構成銘柄(TOP10)
S&P500バリュー指数
銘柄名 | Ticker | 組入比率 | 業種 |
Berkshire Hathaway Inc. Class B | BRK.B | 3.34 | 金融 |
Johnson & Johnson | JNJ | 2.54 | ヘルスケア |
Procter & Gamble Company | PG | 1.99 | 生活必需品 |
Exxon Mobil Corporation | XOM | 1.87 | エネルギー |
Chevron Corporation | CVX | 1.68 | エネルギー |
UnitedHealth Group Incorporated | UNH | 1.54 | ヘルスケア |
Coca-Cola Company | KO | 1.30 | 生活必需品 |
Walt Disney Company | DIS | 1.28 | コミュニケーション・サービス |
Verizon Communications Inc. | VZ | 1.18 | コミュニケーション・サービス |
Walmart Inc. | WMT | 1.16 | 生活必需品 |
大型バリュー株と呼ばれる銘柄がずらりと並んでいます。
S&P500グロース指数
銘柄名 | Ticker | 組入比率 | 業種 |
Apple Inc. | AAPL | 13.97 | 情報技術 |
Microsoft Corporation | MSFT | 11.83 | 情報技術 |
Amazon.com Inc. | AMZN | 7.23 | 一般消費財・サービス |
Tesla Inc | TSLA | 4.63 | 一般消費財・サービス |
Alphabet Inc. Class A | GOOGL | 4.28 | コミュニケーション・サービス |
Alphabet Inc. Class C | GOOG | 3.97 | コミュニケーション・サービス |
NVIDIA Corporation | NVDA | 3.17 | 情報技術 |
Meta Platforms Inc. Class A | FB | 2.70 | コミュニケーション・サービス |
Eli Lilly and Company | LLY | 1.28 | ヘルスケア |
Thermo Fisher Scientific Inc. | TMO | 1.26 | ヘルスケア |
今を時めくGAFAMやテスラがずらりと並んでいます。
S&P500ピュアバリュー指数
Name | Holding Ticker | Weight | Sector |
Berkshire Hathaway Inc | BRK/B | 2.38 | Financials |
Archer-Daniels-Midland Co | ADM | 2.01 | Consumer Staples |
Mosaic Co/The | MOS | 2.01 | Materials |
Prudential Financial Inc | PRU | 1.99 | Financials |
Cigna Corp | CI | 1.96 | Health Care |
Allstate Corp/The | ALL | 1.85 | Financials |
MetLife Inc | MET | 1.80 | Financials |
Marathon Petroleum Corp | MPC | 1.80 | Energy |
Paramount Global | PARA | 1.77 | Communication Services |
Valero Energy Corp | VLO | 1.68 | Energy |
あまり聞きなじみが無いような銘柄が多い印象です。
比較的均等に分けられているため、分散はされています。
S&P500ピュアグロース指数
Name | Holding Ticker | Weight | Sector |
Fortinet Inc | FTNT | 3.32 | Information Technology |
NRG Energy Inc | NRG | 3.22 | Utilities |
Tesla Inc | TSLA | 3.12 | Consumer Discretionary |
Diamondback Energy Inc | FANG | 2.84 | Energy |
Enphase Energy Inc | ENPH | 2.79 | Information Technology |
Dexcom Inc | DXCM | 2.62 | Health Care |
Devon Energy Corp | DVN | 2.43 | Energy |
Goldman Sachs Group Inc/The | GS | 2.39 | Financials |
NVIDIA Corp | NVDA | 2.39 | Information Technology |
SVB Financial Group | SIVB | 2.30 | Financials |
テスラやエヌビディアなどが入っています。
ゴールドマンサックスが意外にもに、ピュアグロースに入っています。
トータルリターン株価チャート
2022年4月までの5年間
Effective date | S&P 500 (TR) | S&P 500 Value (TR) | S&P 500 Growth (TR) | S&P 500 Pure Value (TR) | S&P 500 Pure Growth (TR) |
5年トータルリターン | 108.6 | 71.4 | 142.1 | 66.9 | 108.6 |
それに対して、
・バリュー指数:+71.4%
・ピュアバリュー指数:+66.9%
とバリュー株が基指数を下回っています。一方で、
・グロース指数:+142.1%
・ピュアグロース指数:+108.6%
とグロース指数が強い結果でした。
チャートで見ると、コロナショック後の上昇がグロースは強いものでした。
2022年4月までの1年間
Effective date | S&P 500 (TR) | S&P 500 Value (TR) | S&P 500 Growth (TR) | S&P 500 Pure Value (TR) | S&P 500 Pure Growth (TR) |
1年間トータルリターン | 11.6 | 11.7 | 11.0 | 17.0 | 6.2 |
それに対して、
・バリュー指数:+11.7%
・ピュアバリュー指数:+17.0%
とバリュー株は基指数の同等以上の結果が得られています。一方で、
・グロース指数:+11.0%
・ピュアグロース指数:+6.2%
とグロース指数は基指数よりもアンダーパフォームしている結果でした。
チャートで見ると、2022年からグロースが大きく落ちていることが分かります。
それに対して、バリューが上昇していっています。
2021年末比(2022年4月8日まで)

Effective date | S&P 500 (TR) | S&P 500 Value (TR) | S&P 500 Growth (TR) | S&P 500 Pure Value (TR) | S&P 500 Pure Growth (TR) |
2021年末比 | -5.5 | 0.6 | -10.9 | 6.8 | -15.1 |
それに対して、
・バリュー指数:+0.6%
・ピュアバリュー指数:+6.8%
とバリュー株は基指数のをアウトパフォームしています。一方で、
・グロース指数:-10.9%
・ピュアグロース指数:-15.1%
とグロース指数は基指数よりもアンダーパフォームしている結果でした。
チャートで見ると、2022年からグロースが大きく落ちていることが分かります。
バリューは平行若しくは微増という結果でした。
このことからも2022年はグロース株からバリュー株へシフトしていることが分かります。
ETF
指数連動型投資信託は無い為、投資する際はETFとなります。
S&P500バリュー指数
ティッカー | ファンド会社 | 資産(十億USD) | 経費率 | 直近配当利回り |
SPYV | State Street | 14.76 | 0.04% | 1.75% |
IVE | BlackRock | 25.768 | 0.18% | 1.80% |
VOOV | Vanguard | 3.101 | 0.10% | 1.55% |
資産:IVEが最も高い
S&P500グロース指数
ティッカー | ファンド会社 | 資産(十億USD) | 経費率 | 直近配当利回り |
SPYG | State Street | 14.074 | 0.04% | 0.71% |
IVW | BlackRock | 36.118 | 0.18% | 0.68% |
VOOG | Vanguard | 7.608 | 0.10% | 0.65% |
経費率:SPYGが0.04%と非常に低い
資産:IVWが最も高い
S&P500ピュアバリュー指数
ティッカー | ファンド会社 | 資産(十億USD) | 経費率 | 直近配当利回り |
RPV | Invesco | 3.898 | 0.35% | 1.14% |
S&P500ピュアグロース指数
ティッカー | ファンド会社 | 資産(十億USD) | 経費率 | 直近配当利回り |
RPG | Invesco | 2.577 | 0.35% | 0.00% |
バリュー個別株
私は、ある程度の成長も見込める高配当銘柄がこの状況下でも強いと考えています。
上図の中で、中間(ブレンド)領域=黄色帯が投資妙味があると思っています。
・グロース寄りにしたい場合:赤枠のバリュー指数とグロース指数重複銘柄
・バリュー寄りにしたい場合:グロース指数銘柄に含まれない銘柄
グロース寄り銘柄
S&P500バリュー指数とグロース指数の重複銘柄の中から、バリュー指数上位銘柄TOP10を抜き出したものが下表です。
ティッカー | 銘柄名 | 配当利回り | 1年トータルリターン |
UNH | ユナイテッドヘルス | 1.06% | 47.06% |
JPM | JPモルガン | 3.00% | -12.40% |
V | ビザ | 0.69% | -1.88% |
MA | マスターカード | 0.56% | -6.84% |
BAC | バンクオブアメリカ | 2.12% | 1.09% |
PEP | ペプシコ | 2.48% | 24.80% |
ABBV | アッヴィ | 3.22% | 70.28% |
PFE | ファイザー | 2.90% | 56.15% |
COST | コストコ | 0.53% | 66.38% |
CSCO | シスコ | 2.80% | 7.01% |
配当利回り、ここ1年のトータルリターンは製薬大手アッヴィが強い結果でした。
連続増配も50年と配当王銘柄の一つです。
バリュー寄り銘柄
S&P500バリュー指数の中間層(ブレンド)において、グロース指数と重複しない銘柄を抜き出しました。S&P500バリュー指数構成比率が高いTOP10を下表にまとめました。
ティッカー | 銘柄名 | 配当利回り | 1年トータルリターン |
JNJ | ジョンソンエンドジョンソン | 2.33% | 15.83% |
PG | プロテクター&ギャンブル | 2.17% | 20.29% |
KO | コカ・コーラ | 2.76% | 23.74% |
DIS | ウォルトディズニー | 0.00% | -29.82% |
CMCSA | コムキャスト | 2.28% | -9.75% |
MRK | メルク | 3.15% | 24.88% |
NEE | ネクステラ・エナジー | 1.97% | 12.66% |
BMY | ブリストル・マイヤーズ スクイブ | 2.78% | 28.21% |
PM | フィリップモリス | 5.00% | 15.71% |
MDT | メドトロニック | 2.24% | -5.77% |
メルク、ブリストル・マイヤーズ スクイブ、コカ・コーラも高配当銘柄です。
<連続増配年数>
・プロテクター&ギャンブル(P&G):65年
・ジョンソンエンドジョンソン:59年
・コカ・コーラ:59年
・メガトロニック:44年
1年間のトータルリターンは、ブリストル・マイヤーズ スクイブが最も良好でした。
メルク、コカ・コーラ、P&Gも好調です。
まとめ
そうなると株価は大きく下落していく可能性が高いです。
このような時には、バリュー株がグロース株よりも優位となりやすいです。
S&P500バリュー指数に連動したETFもあります。
バリュー個別株は配当利回りが高い銘柄が多く、株価の下落を支えてくれます。
大型株がメインのNYダウから配当利回りが高い10銘柄に絞って投資をする手法です。

コメント