
2022年のダウの犬についての紹介です。

ダウの犬?

NYダウ構成30銘柄から、前年最終日の株価から算出される配当利回りが高いものを10銘柄選抜し、同比率になるように投資をする戦法です。

成長産業は株主に配当で還元するよりも、得られた利益を設備投資など自社成長に投資をし、さらなる利益を得ようとします。そうすることで更に株価が上昇しやすいので、株主はキャピタルゲインを得ることができます。つまり、成長産業は配当を多く出さない会社が多いです。
そのことから、配当利回りが低くなります。

逆に成熟産業は、大きく成長する見込みが無いため、人気が低く株価も大きく向上しません。そのため、株主に配当を多く出すことで事業を継続させていく方向となります。
つまり、成熟産業は、株価成長率は低いですが、インカムゲインとして配当を確実に得ることができます。

NYダウは厳選された30銘柄のアメリカ大型株で構成されているため、リスクは非常に低くなります。その中で配当利回りが高いものを選択するというのが「ダウの犬」戦法となります。

今回は、
①NYダウとは?
②ダウの犬について
③2021年ダウの犬
④2022年ダウの犬
⑤ダウの子犬
NYダウとは?
正式名称:ダウ・ジョーンズ工業株価平均と言いますが、工業に限らず、運輸および公益事業以外のすべての業種が組み入れ対象です。成長性、投資家の関心、業種間の安定性などを考慮された30銘柄です。
上図からも分かる通り、30社のみのため、分散性は低いです。
ただ大型株から厳選されている30銘柄のため、代表的な株価指数ということで多くの報道で使用されている指数となります。
・S&P500やナスダック総合指数などは「時価総額加重」
⇒時価総額に応じて構成比率が異なるため、勢いのある銘柄が主軸となります。
・NYダウは、「株価平均」算出
⇒絶対的な「株価」により構成比率が変わります。
<構成銘柄>
銘柄 | 和名 | ティッカー | 比率(%) | セクター |
UnitedHealth Group Incorporated | ユナイテッドヘルス | UNH | 8.54 | ヘルスケア |
Home Depot Inc. | ホーム・デポ | HD | 7.38 | 一般消費財・サービス |
Goldman Sachs Group Inc. | ゴールドマンサックス | GS | 7.22 | 金融 |
Microsoft Corporation | マイクロソフト | MSFT | 5.71 | 情報技術 |
McDonald’s Corporation | マクドナルド | MCD | 4.90 | 一般消費財・サービス |
salesforce.com inc. | セールスフォース | CRM | 4.17 | 情報技術 |
Amgen Inc. | アムジェン | AMGN | 4.09 | ヘルスケア |
Caterpillar Inc. | キャタピラー | CAT | 4.04 | 資本財・サービス |
Visa Inc. Class A | ビザ | V | 4.00 | 情報技術 |
Boeing Company | ボーイング | BA | 3.84 | 資本財・サービス |
Honeywell International Inc. | ハネウェル | HON | 3.83 | 資本財・サービス |
3M Company | スリーエム | MMM | 3.24 | 資本財・サービス |
American Express Company | アメリカンエキスプレス | AXP | 3.14 | 金融 |
Apple Inc. | アップル | AAPL | 3.13 | 情報技術 |
Johnson & Johnson | ジョンソンエンドジョンソン | JNJ | 3.12 | ヘルスケア |
JPMorgan Chase & Co. | JPモルガン | JPM | 3.01 | 金融 |
Procter & Gamble Company | プロテクターアンドギャンブル(P&G) | PG | 2.96 | 生活必需品 |
Travelers Companies Inc. | トラベラーズ | TRV | 2.95 | 金融 |
NIKE Inc. Class B | ナイキ | NKE | 2.93 | 一般消費財・サービス |
Walt Disney Company | ウォルトディズニー | DIS | 2.85 | コミュニケーション・サービス |
Walmart Inc. | ウォルマート | WMT | 2.61 | 生活必需品 |
International Business Machines Corporation | IBM | IBM | 2.46 | 情報技術 |
Chevron Corporation | シェブロン | CVX | 2.24 | エネルギー |
Merck & Co. Inc. | メルク | MRK | 1.43 | ヘルスケア |
Cisco Systems Inc. | シスコ | CSCO | 1.11 | 情報技術 |
Coca-Cola Company | コカ・コーラ | KO | 1.10 | 生活必需品 |
Dow Inc. | ダウ | DOW | 1.06 | 素材 |
Intel Corporation | インテル | INTC | 0.98 | 情報技術 |
Verizon Communications Inc. | ベライゾン | VZ | 0.98 | コミュニケーション・サービス |
Walgreens Boots Alliance Inc | ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス | WBA | 0.95 | 生活必需品 |
U.S. Dollar | ドル(現金) | CASH_USD | 0.04 | その他 |
時価総額では、アップル、マイクロソフトが圧倒的ですが、NYダウは株価平均法を使用しているため、時価総額順にはならず、株価が高い銘柄が上位に来ます。
<構成銘柄セクター>
セクター | 比率 | 銘柄数 |
情報技術 | 21.55 | 7 |
ヘルスケア | 17.19 | 4 |
金融 | 16.32 | 4 |
一般消費財・サービス | 15.21 | 3 |
資本財・サービス | 14.95 | 4 |
生活必需品 | 7.62 | 4 |
コミュニケーション・サービス | 3.83 | 2 |
エネルギー | 2.24 | 1 |
素材 | 1.06 | 1 |
その他 | 0.04 | – |
価格:1,540円 | ![]() |
ダウの犬とは?
で表されます。NYダウの中で、この配当利回りが高い10銘柄を選び投資⇒配当利金を再投資⇒次の年に見直し。する手法です。
具体的には、
①年末株価から算出される配当利回りが高い10銘柄を均一になるように購入
②配当を再投資する
③その年の年末に売却し、次の年のダウの犬銘柄に投資する。①同様。
配当利回りが高い=配当金が上昇 or 株価が低下 となります。
私のような初心者には、株価上昇を予想するのは困難なことが多いですが、アメリカ株は連続増配株が多く、配当を予想するのは比較的容易です。
つまり、株価成長は大きく期待できない(キャピタルゲインは少ない)代わりに、
確実な資金を得るインカムゲインを期待する手法です。
また、配当を再投資するため、複利を期待する手法でもあります。
ダウの犬2021年
2020年末 | 配当利回り | 2020年末株価 | 2021年末株価 | 株価騰落率 |
シェブロン | 6.11% | 84.45 | 117.35 | 39.0% |
IBM | 5.41% | 120.24 | 133.66 | 11.2% |
ダウ | 5.05% | 55.5 | 56.72 | 2.2% |
ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス | 4.64% | 39.88 | 52.16 | 30.8% |
ベライゾン | 4.21% | 58.75 | 51.96 | -11.6% |
スリーエム | 3.36% | 174.79 | 177.63 | 1.6% |
シスコ | 3.20% | 44.75 | 63.37 | 41.6% |
メルク | 3.03% | 78 | 76.64 | -1.7% |
コカ・コーラ | 2.99% | 54.84 | 59.21 | 8.0% |
JPモルガン | 2.83% | 127.07 | 158.35 | 24.6% |
アムジェン | 2.78% | 229.92 | 224.97 | -2.2% |
インテル | 2.65% | 49.82 | 51.50 | 3.4% |
ジョンソンエンドジョンソン | 2.53% | 157.38 | 171.07 | 8.7% |
トラベラーズ | 2.40% | 140.37 | 156.43 | 11.4% |
マクドナルド | 2.35% | 214.58 | 268.07 | 24.9% |
ホーム・デポ | 2.26% | 265.62 | 415.01 | 56.2% |
プロテクターアンドギャンブル(P&G) | 2.24% | 139.14 | 163.58 | 17.6% |
キャタピラー | 2.00% | 182.02 | 206.74 | 13.6% |
ゴールドマンサックス | 1.90% | 263.71 | 382.55 | 45.1% |
ハネウェル | 1.71% | 212.7 | 208.51 | -2.0% |
ウォルマート | 1.50% | 144.15 | 144.69 | 0.4% |
アメリカンエキスプレス | 1.42% | 120.91 | 163.60 | 35.3% |
ユナイテッドヘルス | 1.38% | 350.68 | 502.14 | 43.2% |
ボーイング | 0.96% | 214.06 | 201.32 | -6.0% |
マイクロソフト | 0.94% | 222.42 | 336.32 | 51.2% |
ナイキ | 0.71% | 141.47 | 166.67 | 17.8% |
アップル | 0.61% | 132.69 | 177.57 | 33.8% |
ビザ | 0.56% | 218.73 | 216.71 | -0.9% |
セールスフォース | 0.00% | 222.53 | 254.13 | 14.2% |
ウォルトディズニー | 0.00% | 181.18 | 157.83 | -12.9% |
●NYダウよりも騰落率プラス(4/10銘柄)
⇒①シェブロン:39.0%
②ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス:30.8%
③シスコ:41.6%
④JPモルガン:24.6%
●マイナス成長(2/10銘柄)
①ベライゾン:-11.6%
②メルク:-1.7%
便宜上、ダウの犬銘柄に10株ずつ2020年末に購入したとすると、
①購入金額:$8,383
②2021年末金額:$9,471
③配当金額(税別):$344.5 ⇒利回り4.1%
④売却利益(税別):$1,432.5
⑤利益率:17.1%
となります。騰落率が13.0%であり、配当が大きくカバーしています。
●NYダウよりも騰落率プラス(6/20銘柄)
⇒①マクドナルド:24.9%
②ホーム・デポ:56.2%
③ゴールドマンサックス:45.1%
④ユナイテッドヘルス:43.2%
⑤マイクロソフト:51.2%
⑥アップル:33.8%
●マイナス成長(5/20銘柄)
①アムジェン:-2.2%
②ハネウェル:-2.0%
③ボーイング:-6.0%
④ビザ:-0.9%
⑤ウォルトディズニー:-12.9%
便宜上、非ダウの犬銘柄に10株ずつ2020年末に購入したとすると、
①購入金額:$38,041
②2021年末金額:$45,694
③配当金額(税別):$603.8 ⇒利回り1.6%
④売却利益(税別):$7,653
⑤利益率:21.7%
2021年は、ダウの犬よりも非ダウの犬の方が良い結果でした。
2021年は株価市場が活気あったため、成長産業の方が資金が集まりやすい結果でしたが、2022年はバリュー株へシフトしていくと言われていることから、高配当株に光が差すと思います。
ダウの犬2022年
2021年末 配当利回り | 2021年末 株価 | |
ダウ | 4.94% | 56.72 |
IBM | 4.90% | 133.66 |
ベライゾン | 4.85% | 51.96 |
シェブロン | 4.52% | 117.35 |
ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス | 3.62% | 52.16 |
メルク | 3.41% | 76.64 |
スリーエム | 3.33% | 177.63 |
アムジェン | 3.13% | 224.97 |
コカ・コーラ | 2.84% | 59.21 |
インテル | 2.70% | 51.50 |
ジョンソンエンドジョンソン | 2.45% | 171.07 |
JPモルガン | 2.34% | 158.35 |
シスコ | 2.32% | 63.37 |
トラベラーズ | 2.23% | 156.43 |
プロテクターアンドギャンブル(P&G) | 2.08% | 163.58 |
マクドナルド | 1.96% | 268.07 |
ハネウェル | 1.81% | 208.51 |
キャタピラー | 1.74% | 206.74 |
ゴールドマンサックス | 1.70% | 382.55 |
ホーム・デポ | 1.59% | 415.01 |
ウォルマート | 1.52% | 144.69 |
ユナイテッドヘルス | 1.12% | 502.14 |
アメリカンエキスプレス | 1.05% | 163.60 |
マイクロソフト | 0.68% | 336.32 |
ナイキ | 0.68% | 166.67 |
ビザ | 0.62% | 216.71 |
アップル | 0.49% | 177.57 |
セールスフォース | 0.00% | 254.13 |
ボーイング | 0.00% | 201.32 |
ウォルトディズニー | 0.00% | 157.83 |
色付きが2022年版ダウの犬です。シスコとJPモルガンが外れ、アムジェンとインテルが入っています。配当利回りは3.82%です。
ダウの子犬2022年
ダウの子犬という投資方法があります。
ダウの犬10銘柄中、絶対値としての株価が低い5銘柄を選抜して投資する方法です。
リーズナブルに投資する方法の一つです。
銘柄 | 2021年末配当利回り | 2021年末株価 |
インテル | 2.70% | 51.50 |
ベライゾン | 4.85% | 51.96 |
ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス | 3.62% | 52.16 |
ダウ | 4.94% | 56.72 |
コカ・コーラ | 2.84% | 59.21 |
配当利回り
・ダウの子犬:3.79%
・それ以外:3.86%
のため、ダウの子犬でも遜色がない結果です。
まとめ
NYダウ30銘柄の中から配当利回りが高い10銘柄を選抜して投資する方法がダウの犬です。
1年通して保有し、配当が入ると再投資⇒1年後に整理していく方法です。
配当が複利効果が得られるのは長期投資のため、長期投資向けの手法となります。
ダウの犬でも株価が高いものも多いため、リーズナブルに投資するために、ダウの子犬という手法もあります。
また、2022年はグロース株からバリュー株へ資金がシフトしていっています。
そのため、高配当株へ光が差す展開が予想されています。
※2022年は株価調整が入るため、ハイテク株よりも値下がりしにくい。
2022/1/23まで | |||||
ETF | 年初来 | 3M | 6M | 1Y | 5Y |
VUG バンガードグロースETF | -13.47% | -9.12% | -4.29% | 7.50% | 140.84% |
VTV バンガードバリューETF | -2.85% | 0.74% | 3.92% | 17.09% | 52.49% |
今年はバリュー株・高配当のダウの犬戦法がはまるかもしれません。
次の投稿で、私なりのダウの犬についての考え方をまとめたいと思います。
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